研究発表 - 野口　幸希

関門としての胎盤：薬物透過制御機構とその種差

登美 斉俊, 野口 幸希, 西村 友宏

第47回日本毒性学会学術年会 （Web） , 

2020年06月

, 

シンポジウム・ワークショップ パネル（指名）, 日本毒性学会

　概要を見る

<p>薬物の胎児影響評価はラットに頼る部分が大きく、ヒトへの外挿精度向上は重要な課題である。そのため、我々は薬物の胎児移行性種差に関与する因子を同定し、ヒトへの外挿精度を高めるための研究を進めてきた。第一に挙げられる因子は血漿中アルブミンの母胎間濃度差である。薬物の胎児移行性はほとんどが胎児/母体血漿中濃度比(Kp,fetal plasma)で評価されるが、妊娠満期のヒト胎児血漿中アルブミン濃度は母体血漿中の1.2倍であるのに対し、ラットでは約半分である。そのため、アルブミン結合薬物の少なくとも一部はラット胎児血においてのみタンパク非結合分率が高くなり、結果としてラットKp,fetal plasmaはヒトと比べて低値となるため、胎児移行性を見かけ上低く見積もる可能性がある。我々は、digoxinおよびindomethacinのラットKp,fetal plasmaは、いずれもヒトKp,fetal plasmaの半分以下であったが、ラットを胎児/母体血漿中非結合形濃度比(Kp,uu,fetal plasma)で評価すると、ヒトKp,fetal plasmaと同程度となることを明らかにしている。これは、ラット胎児移行性評価にKp,uu,fetal plasmaを用いることの有用性を示す結果である。第二に、胎盤関門の細胞膜に発現する薬物輸送体も重要な因子である。霊長類のみに存在する有機アニオン輸送体OAT4は、胎盤関門に発現し、げっ歯類では機能していない胎児胎盤系エストロゲン合成ユニットの一端を担う。そして、OAT4はオルメサルタンなどアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の輸送にも関与している。ARBはヒト胎児毒性により妊婦禁忌であるが、ラットでは強い胎児毒性が示されていないため、OAT4が胎児毒性における種差と関係している可能性が考えられる。今後、薬物の胎盤透過に果たす薬物輸送体のインパクトとその種差について、非結合形薬物濃度を基準とした定量的な解析に基づき評価することが、ヒト胎児毒性リスク評価の精緻化に大きく貢献すると期待される。</p>

OATP2A1を介した胎盤PGE2代謝制御が分娩誘発に果たす役割

稲垣 舞, 登美 斉俊, 中西 猛夫, 島田 紘明, 野口 幸希, 赤沼 伸乙, 立川 正憲, 細谷 健一, 玉井 郁巳, 中島 恵美, 西村 友宏

日本薬剤学会第35年会 （熊本） , 

2020年05月

, 

ポスター発表, (公社)日本薬剤学会

OlmesartanのMDCK細胞層透過におけるOAT4介在輸送の方向性評価

野口 幸希, 舟橋 和毅, 西村 友宏, 登美 斉俊

日本薬剤学会第35年会 （熊本） , 

2020年05月

, 

口頭発表（一般）, (公社)日本薬剤学会

OAT4/OAT3発現MDCK細胞を介したolmesartan経細胞輸送におけるOAT4の役割

舟橋 和毅, 野口 幸希, 西村 友宏, 登美 斉俊

日本薬学会第140年会 （京都） , 

2020年03月

, 

口頭発表（一般）, (公社)日本薬学会

胎盤関門および血液脳関門を介したdigoxinおよびpaclitaxel透過に及ぼすMDR1機能の定量的比較

井上 慧子, 植田 有美, 野口 幸希, 西村 友宏, 登美 斉俊

日本薬学会第140年会 （京都） , 

2020年03月

, 

ポスター発表, (公社)日本薬学会

マウス栄養膜幹細胞3次元培養系における関門機能分子の発現誘導

木林 由佳, 野口 幸希, 田辺 美那子, 齋藤 義正, 西村 友宏, 登美 斉俊

日本薬物動態学会第34回年会 （つくば） , 

2019年12月

, 

ポスター発表

血漿中アミノ酸濃度変動がpregabalinの脳移行に与える影響

野口 幸希, 高橋 優, 西村 友宏, 登美 斉俊

日本薬物動態学会第34回年会 （つくば） , 

2019年12月

, 

口頭発表（一般）

Ex vivoヒト胎盤灌流試験で構築したヒト胎盤薬物動態モデルによる胎児のメトホルミン曝露予測

黒沢 健, 千葉 康司, 野口 幸希, 西村 友宏, 登美 斉俊

日本薬物動態学会第34回年会 （つくば） , 

2019年12月

, 

ポスター発表

Possibilities and limitation of extrapolating fetal drug transfer data from rodents to human pregnancy

Tomi M, Nishimura T, Noguchi S

Asian Federation for Pharmaceutical Sciences 2019 （Bali, Indonesia） , 

2019年10月

, 

シンポジウム・ワークショップ パネル（指名）

Mother-to-Fetal Transfer Profiles of Statins in Rats

Nishimura T, Yonemura N, Noguchi S, Tomi M

Asian Federation for Pharmaceutical Sciences 2019 （Bali, Indonesia） , 

2019年10月

, 

ポスター発表

Effect of Maternofetal Alubumin Concentration Gradient in Rodents on Interspecies Difference in Fetal Drug Transfer Between Rodents and Human

Nomura T, Noguchi S, Nishimura T, Tomi M

Asian Federation for Pharmaceutical Sciences 2019 （Bali, Indonesia） , 

2019年10月

, 

ポスター発表

Irbesartan Has Lower Fetal Toxicity and Transfer Compared to Olmesartan in Rats

Ishikawa Y, Nishimura T, Noguchi S, Tomi M

Asian Federation for Pharmaceutical Sciences 2019 （Bali, Indonesia） , 

2019年10月

, 

ポスター発表

胎盤特異的なヒトSLC22A11発現における転写制御の解析

野口 幸希, 古郡 加奈子, 深澤 尚美, 西村 友宏, 登美 斉俊

第41回生体膜と薬物の相互作用シンポジウム （千葉） , 

2019年10月

, 

口頭発表（一般）

有害事象データを用いたARB同効薬間胎児毒性多寡比較と胎盤透過性の差

西村 友宏, 石川 優, 野口 幸希, 登美 斉俊

第41回生体膜と薬物の相互作用シンポジウム （千葉） , 

2019年10月

, 

口頭発表（一般）

プロスタグランジン輸送体OATP2A1が制御する分娩誘発機構

稲垣 舞, 西村 友宏, 中西 猛夫, 島田 紘明, 野口 幸希, 赤沼 伸乙, 立川 正憲, 中島 恵美, 細谷 健一, 玉井 郁巳, 登美 斉俊

第4回トランスポーター研究会関東部会 （東京） , 

2019年10月

, 

ポスター発表

げっ歯類の妊娠後期胎盤におけるhypotaurine取り込み輸送に関わるトランスポーターの解明

柳下 晴也, 西村 友宏, 斉藤 慶, 野口 幸希, 登美 斉俊

第4回トランスポーター研究会関東部会 （東京） , 

2019年10月

, 

ポスター発表

妊娠満期ラットにおけるolmesartanに対するirbesartanの胎児低移行性とヒトOATP2B1による基質認識性の違い

石川 優, 西村 友宏, 野口 幸希, 登美 斉俊

第4回トランスポーター研究会関東部会 （東京） , 

2019年10月

, 

ポスター発表

副作用報告頻度に基づく低胎児毒性アンジオテンシンII受容体拮抗薬の探索と低胎盤透過性の要因

西村 友宏, 石川 優, 野口 幸希, 登美 斉俊

第40回日本妊娠高血圧学会学術集会 （埼玉） , 

2019年09月

, 

口頭発表（一般）, (一社)日本妊娠高血圧学会

Substrate recognition and chloride ion dependent transport of angiothensin II receptor blockers by OAT4

Noguchi S, Tobita M, Atsuta H, Kimura R, Fukumoto A, Nishimura T, Tomi M

12th International ISSX Meeting （Portland, USA） , 

2019年07月

, 

ポスター発表

Comparison of toxicity and permeability among angiotensin receptor blockers to fetus

Nishimura T, Ishikawa Y, Noguchi S, Tomi M

12th International ISSX Meeting （Portland, USA） , 

2019年07月

, 

ポスター発表